絵本「すべては神様が創られた」

戦争被害者の支援のために

奥田知志と黒田征太郎による絵本、緊急発行

絵本の購入で戦争被害者への支援を

2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻しました。出口の見えない殺し合いが続いています。
「日本人を含む志願兵がウクライナへ」の報道に、戦争とは人の思いを呑み込みつつ拡大するのだと改めて思わされました。
「それは違う」と思いつつ「何ができるか」の答えは見えない。
その中で、牧師である奥田知志氏が思いの丈を綴り、絵描きの黒田征太郎氏がイラストの提供をくださり、
1ヶ月ほどで1冊の絵本を出版することが出来ました。

2022年4月15日発売
上製本/44ページ/全カラー/A4判変形
発行:木星舎
 1,760円(税込)

2022年7月15日
第2刷が発売されました。
奥田知志のあとがきが大きく変わっています。

寄付先について
この絵本の販売利益は、「認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン」に寄付し、戦争被害者支援に用いて頂きます。

2022年6月20日、奥田知志さんが認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン」代表理事の大西健丞さんへ

最初の寄付・100万円をお届けしました。

発刊記念イベント 4月30日 於:東八幡キリスト教会
第一部(朗読とトーク)ダイジェスト映像
出演:奥田知志、黒田征太郎
(朗読:奥田伴子 司会:谷本仰)

発刊記念イベント 4月30日
ライブ
ライブペイント:黒田征太郎
演奏:谷本仰

奥田知志

1963年、滋賀県生まれ。1990年、福岡県の東八幡キリスト教会牧師として赴任。学生時代から「ホームレス支援」に携わり、現在北九州市において生活困窮者への伴走型支援をおこなっているNPO法人 抱樸(ほうぼく)の理事長。東日本大震災被災者支援の「共生地域創造財団」理事長なども兼任。第19回糸賀一雄記念賞、第1回賀川豊彦賞受賞。

著書:『もう、ひとりにさせない』(いのちのことば社)、『ユダよ、帰れ』(新教出版社)、『「逃げおくれた」伴走者』(本の種出版)など。

黒田征太郎

1939年、大阪府生まれ。16歳の頃、米軍船に乗り海を渡る暮らしを体験。1969年、長友啓典氏とデザイン事務所K2を共同設立。数多くのアートワークを制作。ミュージシャンとのコラボレーションによるライブ・ペインティング、壁画制作など、幅広く活動を続けている。

2009年、N.Y.より北九州に居を移す。門司港のアトリエの壁も、日々キャンバスに。

「NO WAR」書

栗原光峯

墨と余白、、、

見えない部分にこそ愛と希望が存在する。

今、まさに余白ごと
絵と書と言葉であなたを抱きしめる!


書家、書道パフォーマー
1964年、北九州市生まれ。実は左利き。2001年より個展活動を開始し、筆をリュックに背負って訪れた国は欧米アジア9ヵ国18ヶ所以上。2017年披露した『抱擁』三部作が話題となり、アジア4ヵ国内で最高賞を4度受賞。「創作書」という独自の分野で活躍中。
『抱樸』『みんなおんなじいのち』『抱樸由来』『生笑一座』『NO WAR』

2020年7月5日、東八幡キリスト教会にて抱樸クラウドファンディング応援企画「谷本仰 × 栗原光峯LIVEセッション」。『生きる』等の文字も光峯揮毫。

現在は主宰の和樂書院で生徒と穏やかな時間を過ごす「日常」を大切にしている。

写真

八木 咲

暮らしの中に溶け込む光を記憶し続けている

2022年公開 奥田知志が牧師を務める東八幡キリスト教会を舞台にした長編ドキュメンタリー映画、石原海監督『重力の光』撮影監督

■オビにコメントを寄せていただきました。

一体、わたしに何ができるのだろう。何が可能なのか。

――重すぎる問いに、ずっと囚われている。

本書に記された言葉が、

本書の存在そのものが、
答えのひとつなのかもしれない。

そう思い当たって、息をするのが少しだけ楽になった。

落合恵子(作家/子どもの本の専門店

クレヨンハウス主宰)


目を閉じる。懐かしい記憶が瞼の裏で再生される。雨宿りしたバス停で立ち尽くしていると、森が風でざわめき合唱している頭上に細い月が見えた。世界中でこの月を見上げている顔の知らない人と静けさの中で目が合った気がした。

わたしたちの体はその一つ一つの当たり前にあった尊い時間を役割として記憶している。

戦争。あるべき新しい記憶はでたらめに組み替えられ、その手や顔は鮮血で真っ赤に染まった。望まない機関銃を握り、考えることを麻痺させるためにあてがわれた大義を大声で叫ぶ。正当化のためにタイトルがあてがわれた殺戮はどう頭を捻っても理由が足らない。

1秒でも早く、その口が、その手が、その耳や目や鼻が、当たり前の役割に戻ることを祈り、本を閉じる。祈りでは足りないから行動する。

だが、行動とはなんだ?

考える。愛について。数字にされてしまったものに体温を取り返すために、記号に閉じ込められたものから尊厳を取り戻すために。考える。想像力について。

Don’t think! Feel. いや、足りない。

感じるだけじゃない、月を見て想い、そして考える。

マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)

言葉の世界の彼方へと通じる、確かな道が、ここに広がっている。


若松英輔(批評家・随筆家)

■推薦コメント

戦争はいつもたくさんの言葉を動員する。たくさんの言葉が要るのは、どれだけ言葉を尽くしても自分がふるう暴力を正当化することができないということを誰もが心のどこかで知っているからである。戦争についての言葉は、当事者であろうとなかろうと、自分自身に向けて、しばしば自分の思考を停止させるために発される。停止された思考が息を吹き返すような言葉を探り当てること、それが私たちにできる数少ないことの一つだと思う。奥田さんの言葉にはその力がある。

       内田樹(思想家)

すべては神様が創られた。

でも任せきりじゃない。

人間はそれに応えなければ。

弱く生まれてきた意味も、闇が創られた意味も、なくなってしまうではないか。

     コムアイアーティスト

どんな国の人でも、どんな性別でも、どんな年齢、どんな職業、どんな生まれ育ちであっても、そして、どんな神を信じていても、或いは神など信じていなくても、今はそれぞれの声で、断固として「戦争反対!」と訴えるべき時だ。 

     平野啓一郎(作家)

牧師の奥田さんは問う。「神様は、なんのために人間の口や手や目を創られたのか」。そして続ける。「戦争するためではないだろう」。

信心が足りない僕は思う。「口や手や目は、悠久の時間のなかで遺伝子がエラーを繰り返した結果できあがったものだから、そこに目的はないだろう」
そのうえでさらに考える。「では、なんのためにできあがったと信じたいのか」。こうなるといろいろ思いつく。「友人とおしゃべりするため」、「好きな人と手をつなぐため」、「美しい風景を観るため」・・・。そして思い至る。「たしかに、戦争するためではないな」。

本書を読むと、以上のような「自分なりの考え方」が思い浮かぶことだろう(僕の考え方が味気ないことは自覚しています)。なぜなら、奥田さんのことばとともに、黒田さんの絵が描かれているからだ。黒田さんは神様を登場させずに「戦争するためではないだろう」と語る。2人が違う語り方で「戦争するためではないだろう」と示してくれるから、「では、僕は」と考えたくなる。魅力的な本である。

 山崎亮(コミュニティデザイナー)

戦争を始めてしまった人、戦争をせざるを得ない人、戦争に行こうとしている人、固唾を飲んで見守っている世界中の人々、すべての人に読んで欲しい本です。そして生きる意味を失いかけている人にも読んで欲しい。奥田先生の人に対する深い愛情のこもった言葉と黒田征太郎さんのシンプルな絵が、戦争の愚かさ、人間の尊さを美しく力強く伝えてくれています。

       手塚由比(建築家)

路上で希望を失ってしまった人たちに言葉をかけ、その人の深い悲哀に触れるなかで、「自分は何もできない」という強い悔しさを経験した人でないと書けない言葉だと思った。人間のどん底を覗いたからこそ、その人の言葉に「神様」が宿る必然がある。そして私(たち)はほんの一歩で、「銃を持つ人」になる可能性がある、ということを想像する。黒田さんの絵にも、たとえば人は「火」を、湯を沸かし体を温めるためではなく、武器として使ってしまった事実が示されている。その人間の「もろさ」を見極めた人の言葉こそが、この絵本を形作っていると感じるのだ。

      藤原辰史歴史研究者

人間が善きものであることを信じる奥田知志さんの魂の言葉と、生命のエネルギーをその絵筆からほとばしらせる黒田征太郎さんの絵が響き合って、未来を託せる素晴らしい絵本ができた。この困難な時代だからこそ、へだてない、決めつけない、あきらめない心の強さとしなやかさを持ちたい。この一冊の思いが世界のすみずみまで届きますように! 

     茂木健一郎(脳科学者)

お問い合わせ

「すべては神様が創られた」製作委員会 (代表/谷瀬未紀)
G.C.everything.book@gmail.com

発行:木星舎  協力:東八幡キリスト教会、NPO法人抱樸